第5話
<<彼女の居た道>>
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登場人物
名前:ハザード
UO暦:2年
職業:ランナー
1年ほど前から、ミッドナイトラン(後述)にのめり込むようになる。
今では現役最速のランナーとの声も挙がっている。
毎晩、速さを求め、愛オスタを駆る。
ブリテイン環状線。
そう呼ばれる街道がある事を、あなたはご存知だろうか?
ブリテイン、
ブリテイン北東の沼地、
ブリテイン〜ユー〜ヴェスパー行きの街道の合流地点の三叉路、
ユー南の三叉路、
ブリテイン西の三叉路。
以上の街道を繋ぐと、大きな円が出来上がる。
これを「ブリテイン環状線」と呼ぶ者達がいた。
彼らは、冒険者や、生産者とは違った生き方をする者達。
彼らは、ただひたすら、速さを求めていた。
誰よりも速く、ただ、それだけを・・・
今日も環状線を走る者達が居る。
彼らの<走り>のルールはシンプルだ。
リアル(現実世界)時間の深夜、
環状線の、時計回り、半時計回り、
どちらでも自由な方向を、
消えたランタンを片手に持ち、
環状線を自由な速度で周回する。
同じく、消えたランタンを持つ者に遭遇したら、ランタンを点ける。
(歩き(走り)ながら点けるので、予めランタンを使用しておき、
ラストオブジェクトのマクロキーを使う)
相手もランタンを点けたら、勝負開始だ!
(相手がランタンを点けなかったら、勝負拒否)
基本的に1vs1でレースをし、
街道からはみ出ないように、速さを競う。
ルールは単純だが、勝敗の決定については難しい。
大抵のレースの決着は、
片方が、相手を充分に引き離した、と感じ、速度を落とした時。
相手がコースを大きくはみ出たので、自分の勝ちだと思い、速度を落とした時。
等で終わってしまう。
片方がランタンの灯を消せば、そこでレースは終了となる。
しかし、レースの当事者達には、
どちらが勝者で、どちらが敗者かはハッキリと解っている場合が多い。
負けたと悟った者は、回線や、パソコンのスペックを上げ、
また、己のテクニックの向上に努める。
勝った者は、次々に現れる挑戦者達から、
自分の"速さの地位"を守るために走る。
こんなレースが、ひっそりと、
しかし何年も前から続いていた。
人は、彼らを、<ミッドナイトランナーズ>と呼んでいた。
そんなある日・・・
ふう、今日も3人ほどとバトルをしたが、
どれも俺の圧勝だったな。
最近はほとんど負けた記憶がない。
周りの皆も俺の事を、現役最速のランナーだと呼んでくれている。
今日はここらへんであがるとするか・・・
俺は家を持っていない。
いつもここ、Sweet Dreams INN でログアウトだ。
よし、ログアウト、と。
また明日の夜、走りに来よう。
ん?
いつもなら瞬時に画面が消えるのだが・・・?
おかしいな、自由に歩けるぞ?
ちゃんとログアウトしたんだが・・・?
だめだ、Sweet Dreams INN では何度やってもログアウトできない。
酒場で落ちてみよう。
ふむ、ちゃんと落ちれたぞ。
あの宿屋がバグっていたのかな?
まぁいいか、今日は寝る事にしよう。
<翌日、深夜>
俺の相手になるヤツは居ないのか!
結局、今日も全て勝ってしまった。
明日はもっと速いヤツに会える事を祈ろう。
さてログアウト・・・と。
あ、昨日の事を忘れて、無意識のうちにまた
Sweet Dreams INN に来てしまったが、
またログアウトできないみたいだぞ?
と思ったら、隣の部屋では、他人が普通にログアウトして消えていくじゃないか。
俺だけが、この宿屋で落ちれなくなったのか?
こりゃ、いよいよおかしいな。
仲間にでも相談してみるか。
同じ症状のヤツが居るかもしれない。
居た居た、皆、ランナーズの仲間だ。
おかしい、皆が俺を無視する!?
というか、何かおかしいな・・・
違和感がある・・・
そうだ、音だ!
皆の足音や、ふざけあう魔法の音などが聞こえない!
聞こえるのは自分のたてた音だけだ!
これはいったいどういう事だ???
どうやら、皆は俺を無視している訳ではなく、
俺の姿が見えてないように思える。
何故だ?
あの宿屋でのログアウトと何か関係しているのだろうか?
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