第4話
<<お前は誰なんだ!>>

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登場人物
名前:パトリック
UO暦:1年半
職業:SS戦士

UO暦1年半になり、ついに念願の大きな家を購入、最近絶好調の戦士。
ダブル、ホリィとはとても仲の良い、冒険仲間。
名前:ダブル
UO暦:1年
職業:SS戦士

数ヶ月前にパトリックと知り合い、それ以後、共に冒険をするようになる。
パトリックが家を購入し、そのうち自分も・・・と思っている。
名前:ホリィ
UO暦:1年
職業:テイマーメイジ

初心者時代にパトリックと知り合い、意気投合し、よく共に行動する仲間となる。
最近、パトリックが家を購入したため、そこでログアウトすることが多い。





私の名はホリィ。

今日も仲の良い友人の、パトリックさん、ダブルさんと一緒に活動している。

先日、イルシェナーにある、孤島に浮かぶ城への入り方を聞いた我々は、

今日の冒険の目的地に、その城を選んだ。





その冒険も終わりが近づいてきた・・・。







強敵潜む洞窟を抜けると、目の前には神秘的な城が我々を見下ろしていた。

さっそく中へと駆け込む私たち。




ついに城の最奥へとたどり着いた。

途中途中、現れるモンスターをなぎ倒しつつ来てるので、

ここまでに結構な時間がかかっている。




だがその分、達成感は大きい、みんな満足しているみたいだ。




この城への行き方を教えてくれた人の話によると、

この穴の下には低級アンデッドが大量にいて、ウカツに入ると危険だそうだ。

それに特に何もないので、行く必要は無いと言う。

我々は秘薬などの消耗も激しい事から、ここで引き返すことにした。




さぁ、帰ろう!

町へと凱旋・・・だ?




あれ?おかしいな?

私の目がおかしいのかな?

いや、そうじゃないみたい、ダブルさんが2人居る!?




一瞬、バグかと思ったら、そうじゃない!?

もう1人のダブルさんも喋ってる!




HPゲージを引っ張り出してみる。

2人とも同じ名前だ。




こうなるともう、どちらが本物なのか分からなくなって来た。

2人のダブルさんも、お互いを「偽者」だと罵り合っている。




いったいどうなってしまったのか?

そこで、パトリックさんが提案を申し出た。

「いくつか質問をしてみよう」




本物にしかわからない問題を出せば、

正解を答えたほうが本物ね!

ナイスアイデア。




あ、なるほど、発言だと「後だし」が可能になっちゃうもんね。

本物が答えた直後に、偽者が同じセリフを言えば、ちょっとわかんないよね。

その点、本に書いて渡してもらえば同時に2人の答えを見ることができる。

ここイルシェナーはトランメルルールのため、相手の鞄の中の本を覗く事はできないし、

ダブルさんにそのスキルは無いはず。




パトリックさんが質問を出した。

「ここに来る途中、私たちは、知り合いに出会った、それは誰だったか」

という質問だ。

確かに、イルシェナーに入った直後に、知り合いに会った。


さて、2人の本を受け取り、

答えを見てみよう。




























・・・・・




同じ答えだ・・・

偽者の人の方は、どうして知っているんだろう・・・




パトリックさんが、第2の質問を出す。

「昨日、私たち3人で冒険したダンジョンの名前は?」

これも本に書いてもらい、私たちが受け取る・・・




























!!




またもや、同じ答えが返って来た。

どうなっているの!?

確かに昨日はダスタードへ遊びに行った。




すると、パトリックさんが、

「ここまでの答えを、偽者が知る事は不可能ではない」

との発言。




確かに、昨日から私たちを、からかう目的で、

つけまわしていたという可能性は0じゃない。

パトリックさんの推理によると、

偽者のほうが、ゲームマスターや、カウンセラーなどの、

メーカー側の人の可能性も考えているみたい。

確かに、管理者側の人なら可能なイタズラかもしれない。

んじゃこれ、新手のGMイベントなのかしら?

それにしてはちょっと悪質なような気が・・・




パトリックさんは、新しい質問を思いついたようだ。




なるほど、一昨日、ダブルさんがゲーム中に、

ICQで「○○○○というコンビニへ行くから、席を離れるよ。」

と言うような文章を、パトリックさんにメッセージを送ったのね。

ICQとは、簡単に言えば、ショートメールを現在オンラインのメンバーに瞬時に送りつけるソフト。

さすがにその内容までは簡単には他人に解らないはず。


更に万が一の事を考え、もし、偽者のダブルさんが、ゲームマスターなどの管理者で、

本物のダブルさんが書いている本の答えを盗み見れている、という事を考慮し、

今回は、右のダブルさんから先に本を回収する。

次に問題を出す時は、左のダブルさん先にから本を回収する。

これで不正は行えないはずである。

さて、2人の答えは・・・?




























???




そんな!?

どうして偽者の人はそこまで知ってるの!?




すかさずパトリックさんが次の質問を出す。

今度はEメールの内容についての質問のようね。

ICQは盗聴されるとか噂では聞いたことがあるけれど、

Eメールはそうそう他人が見ることは・・・

今度は左のダブルさんから先に本を受け取る。

その後、右のダブルさんから本を受け取り、中を見ると・・・




























どうして・・・




私の目の前で、何が起きているの・・・?

本物のダブルさんが2人居る!?




さすがに不安に感じたのか、片方のダブルさんが、

「俺に質問をさせてくれ」

と申し出た。




私たちには、正解を書いた本を先に渡してくれるみたい。

「この方法では、どちらが本物かの証明にはならない」?

どう言う事だろう、ダブルさんは何を考えたのか・・・?


そして、そのダブルさんは本を渡してきた。

その内容は・・・






























何の事だろう?




あぁ、なるほど!リアル(現実世界)に関する質問なのね。

確かに、こういう質問では、もう1人のダブルさんの答えが、

正解でも、不正解でも、私たちには、どちらが本物かは解らない。

なぜなら、私たちは、リアルのダブルさんを知らないからだ。

では、何のためにそんな質問を??

今質問しているダブルさんは本物?偽者?




























すらすらと答える、もう1人のダブルさん。




答えはズバリ一致していた。

もう、私には、何が何だか解らない。




今度は、逆のダブルさんが質問を出すと言って来た。

やはり答えは先に私たちに教えてくれるみたいだ。




ワンピース?

服?




あぁ、そういう事ね。

マンガのワンピースね、面白いよね、あれ。




























またしても答えは一致している・・・。




すかさず、またもう片方のダブルさんが質問をする。

たった今つけているテレビのチャンネルは?




答えを渡してきた。

ダブルさんは東京の人だと聞いたから、

8チャンネルは通常フジテレビである。




























私は怖くなってきた。

目の前の2人のダブルさんが、2人とも本物だという、

矛盾だと解っている事実が受け入れられなくて・・・。




しかし、パトリックさんは冷静だった。

冷静に分析して、あらゆる可能性を提示する。




確かに、ダブルさんの部屋に監視カメラでも仕掛けてあれば今までの事は納得できる。

しかし、そこまでする人って居るのかしら・・・。




更に、パトリックさんは、新しい手を思いついたらしい。

これが一致する事はありえないと言う。

いったい・・・?




夢・・・夢!?

そうか!どんな相手でも、他人の思考を読み取る事は不可能。

ましてや最近みた夢で、、誰にも話していない内容なんて解るはずが無い!

世界でただ1人しか知る由の無い事!




これで、どちらが本物かわかる、という事ではないが、

2人とも本物だというバカげた答えからは脱出できるはず!




答えが書かれたみたいだ。

さっそく受け取ると・・・




























・・・・・・・・・・・・!!!




夢の内容まで同一・・・ありえない・・・ありえない!






















































































私たちは、気味が悪くなってその後すぐ解散し、ログアウトした。

明日になればまた何もかも元通りになっているに違い無い。

根拠の無い願望を抱きつつ、ふとんに包まった・・・




そして・・・翌日・・・
































いつものようにUOにログインする、

そして、いつもの待ち合わせ場所にダブルさんがやってきた。

このダブルさんは、どっちのダブルさん?

そしてもう1人のダブルさんは?




え?

イタズラ?

謝った?




もう2度としない・・・?

キャラも消す・・・?

でも、でも、あの人は・・・




・・・・・





結局、昨晩の私の願望の通り、その日から、何もかもが元通りになった。

しかし、無意識なのか、意識してなのか、

パトリックさんもダブルさんも、あの時の事を口に出す事は無い。

でも、私の中では、まだあの時の事が引っかかっている。

あの時いた2人のダブルさんは?

そして、今はなぜ1人?

あの時のダブルさんは?

今のダブルさんは?

もう1人のダブルさんは?

このダブルさんは?

・・・・・












私の耳(目)には、まだあの時のダブルさんの言葉が焼きついている。




























反↓転

気づいているかもしれませんが、影・・・2人の影に注目・・・。



ドッペルゲンガー

この名前を知っている人は多い事だろう。

いや、UOのイルシェナーの、エクソダスダンジョンの前にいる同名モンスターの事では無い。

これは、もう1人の自分、という意味のドイツ語である。

ドッペルゲンガーを見た者は、近いうちに・・・という言い伝えがある。

あなたが、UOの中で、もし、自分自身に出会ってしまったら。

あなたならどうしますか?



オマケ

名前の由来

Double=Doppelgangerの英語訳である。

HollyとPatrick=「ドッペルゲンガー<憎悪の化身>」という映画の登場人物から。

あと、途中で会ったという知り合い、「モズ」については、

私、カフェブレーメン管理人のUO師匠の名前から。


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