第1話
<<幻影の親友>>

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登場人物
名前:カール
UO暦:4年
職業:SS戦士

ポールの相棒。
ポールとはUOを初めて以来ずっと共に冒険してきた仲で、
喜び、苦しみを分かち合える親友。
名前:ポール
UO暦:4年
職業:オノ戦士

カールの相棒。
カールとの長い付き合いで、カールに寄せる信頼は絶大なもの。


























俺の名はポール。

UO暦4年以上のオノ戦士だ。



長いUO経験の中、あんな事は初めてだった・・・。

今でも、あの事が気になって仕方がない。



どうして、あいつは・・・俺の前に姿を現したのか。

あれは幻だったのだろうか・・・

いや、そもそも、あいつは誰だったのか・・・



今思えば、あの時もっと会話を交わしておけば良かったのだろうが、

今となってはどうしようもない・・・



そう・・・あれは・・・一ヶ月ほど前の話だ・・・






あの時、俺はカールと共に、ダンジョンで狩りをしていた。




時間はすでに夜の1時を回っていた。

そろそろ潮時である。

我々は町に引き上げる事にした。





突然、カールが妙な事を言い出した。

UOが終わり???





そうか・・・ついに相棒もUOを引退か・・・

長い間一緒だっただけに、非常に残念だ。





我々がタッグを組んで、4年の歳月が過ぎた。

「カール&ポール」という通り名で、少しは名前の売れたコンビだった。

この後、我々は2人で昔の事を振り返り、思い出話に華を咲かせた。





1人の男が決めた事だ、俺がどうこう言う問題じゃない。

友人の良き未来に祈りを捧げつつ、気持ち良く別れよう。

俺達の間に余計な言葉は要らない。

「元気でな」

それだけだった。

俺達が共にブリタニアを駆けた想い出は、色あせる事無く俺の胸の中にある。

それでいい。

カールは

「お前もな、またどこかで会おう」

そう言って宿屋の奥へと姿を消した。



今生の別れとなるはずだった・・・

少なくとも、あの時はそう思っていた。

















<数日後>



















俺は一人、ダンジョンヒスロスで狩りをする。

なにか寂しい・・・。



すると突然、シェイムへ行きたくなってきた。

別に理由があるわけじゃない。

なんとなく、だ。

どうしてあの時そう思ったか、今でも解らない。



とにかく俺は、シェイムへ向かったんだ。


すると・・・
























懐かしい名前が画面の隅に見えた。

カール?

まさか!

いや、同名の別人だろうさ。

だが、確かめずにはいられない。

俺はその名前の方に馬を走らせた。
























そこには懐かしい姿があった。

いや、別れたのはほんの数日前なのだが、その時はむしょうにそう思えた。

オレンジのダブレットに黄色いスカート。

手に持った金色に輝くハルバードは確かにあいつの愛用の武器だ。

相棒よ!













俺は嬉しかった。

再び相棒とブリタニアを駆ける事ができる。

オノを握りしめる手に自然と力が入るのを感じた。





さっきまでのヒスロスでの1人の狩りの時とはうってかわって楽しい時が俺をつつむ。

急に周りのもの全てが輝き出したかのように、止まっていた時が動き出したかのように感じられた。





俺達の行動は息があっていた。

包帯を巻き合ったり、いざと言う時の魔法の援護。

周囲にモンスターが沸いた時、余裕のある方がタゲを取る。

やはり、俺の相棒はこいつしかいない。





楽しい時間ほど早く時は過ぎる。

いつのまにか2人で狩りをしだしてから数時間が経過した。

もう夜の2時ぐらいになりかけている。





俺は引き上げる事を相棒に告げた。





明日も早く起きねばならないしな。

しかし、相棒の返事がどことなくおかしい。





リコールを唱えた時、相棒が「あ」と発言した。

しかしすでに遅く、俺は町の宿屋へと飛んでいた。



まぁ、明日にでも何が言いたかったのか聞けばいいだろう。

その時はそう思ったのだが、今思えば、この時、すぐにシェイムへ戻っていれば・・・

いや、もう少し会話をしておけば・・・






その数日後、カールはあれから現われなくなっていた。

UOに復帰はしたが、リアルで忙しいのだろうか?

あの時の「あ」というセリフが気になって、相棒へEメールを出して聞く事にした。
(長い付き合いだからな、メールアドレスぐらいは知っているのだ)

やぁ、カール
俺だ、ポールだ。

いやぁ、お前がUOに戻ってきてくれて嬉しいよ。
この間はゲームに夢中であまり雑談はしなかったけど、
あの時、最後に言いかけた「あ」ってなんだい?

なんか妙に気になってねw
まぁ、大した事じゃないかもだけどな。

それと明日はログインするかい?
久々に一緒にトレハンにでも

(以下略)






するとすぐに返事は返ってきた。






よぉ、ポール

なにか人違いでもしたか?
俺はUOに復帰なんてしてないぞ?

同じ名前の別人にでも会ったんだろ。
俺はアカウントが止まる前に、未練が残らないように、と、
キャラクターを全てデリートしてから辞めたから、
俺のキャラはもう居ないぞ。

今、気になって、公式HPのアカウント管理ページで確かめたが、
俺のアカウントはちゃんと「停止中」になってるよ。






という返事だった。

俺は他人に騙されたのか?

誰かがカールの名前でキャラを作り、同じ恰好をして演技をしてたのか?

とても気になったので、MyUOで俺のシャードで「Carl」で検索をしてみた。







居ない・・・

念の為、メーカーに事情を説明して、

アカウントハックの可能性もあるから調べてくれ、
(こう言った方が動いてくれると思ったからだ)

と伝え、調べてもらったのだが、



「このシャードにCarlというキャラクターは現在1人もおりません。」

「しばらく前まで1名居たようですが、数日前にキャラクターが消されています。」

「お客様が事件にあわれた日にはすでに消えているので、無関係だと思われます。」

「失礼ですがお客様の勘違いか見間違えかと(以下略)」



という返答が返ってきた。



いったいどういう事だろう?



4年間も使われてきたキャラが消され、

キャラが意思を持ち、寂しくなって俺の前に出てきたのだろうか。

それともあれは、俺の相棒を求める心が生み出した幻影だったのだろうか。








今日も俺は1人、ダンジョンをゆく。

あの日の幻影を求めて・・・










あとがき↓

いやぁ、笑いの無いUsOショット!を作ってみたくて、作っちゃいました。

しかも今回はオールフィクションです。

実在するキャラは一切使っておりません。

なんか、ありきたりな、よくあるようなストーリーかもですが、

こういったUOストーリーもアリかな、とw

このシリーズでいくつか作っていこうと思うんだけど、

どこまでネタがもつかわからない状態です(爆)

まぁ、なま温かい目でお見守りください(謎)



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